専門家に聞く!この春からはじめる植物栽培

コラム
植物がたくさんの素敵な空間!

人は誰しも植物に癒されたい生き物です。特に春は街中にも里山にも、新芽や花で彩られた美しい景色が出現し、人々の心を癒してくれます。春、桜の花が咲き始めると飛び跳ねたくなるくらい嬉しくなる人も、多いのではないでしょうか。

そこで、春から植物を育ててみたい方のために、どのような植物を育てたらいいのか2名の専門家の方に聞きに行くことにしました。植物選びの参考にしてみてください。

東京農業大学農学部植物園
東京農業大学には3つのキャンパスがあるのですが、神奈川県厚木市にある厚木キャンパスには農大の心臓とも言える「農学部」があります。農学部にある植物園の先生なら、きっと初心者にも育てやすい植物を知っているはずです。

厚木キャンパスにきました!

厚木キャンパスにはキャンパス内に500種類以上の植物が自生し、植物園が管理するエリアには3,000種以上の植物が栽培されています。

これが植物園の温室

この植物園は一般の方にも開放しており、時間内であれば好きなだけ植物を観察することができるのです。長時間植物を見ている方もたまにいるそうです。気持ちはわかります、だって見ているだけで楽しいもの!

誰でも見ることができます

いろいろな植物があります、楽しい!

植物園の専門家に聞く
これだけ多くの植物を育てていれば、植物のことを知り尽くしているはずだし、きっと初心者に優しい植物を教えてくれるはず! そこでここを管理している植物園の伊藤 健先生にお話を聞きます。

先生!初心者にも育てやすい植物教えて下さい!

伊藤先生は、白馬などの国内だけでなくタイなどにも赴き、様々な植物を見てきた先生で、先生と一緒に山を歩くと植物図鑑が歩いているのかな? というくらい植物に関する知識が出てきます。

先生の部屋にも植物がさりげなく置いてあった

農大の研究や取り組みなどを紹介する新・実学ジャーナルという冊子にも連載コーナーを持っていて、世界中の珍しい植物が紹介されています。農大の職員の中にも楽しみにしているファンが多いのです。

私も毎号楽しみにしています!

そんな伊藤先生に、初心者にオススメの育てやすい植物教えて下さい、と聞いてみました。多肉植物とか観葉植物とかそういう手間のかかりにくい植物たちなのかなと安易に思っていましたが、先生からは意外な答えが返ってきました。

様々な植物があります

何が選ばれるんだろう?

「僕は初心者が多肉植物とか観葉植物育てるのは反対だな」という意外な回答が。だって、どのサイトを見ても「植物 初心者」 で調べると多くの場合「多肉植物」 や「観葉植物」 が出てくるものです。

えっ!僕たちじゃないの?

なぜ初心者には多肉植物や観葉植物ではないのか
衝撃的ともいえるこの発言の真意について聞いてみると、「まず初心者は、植物は生きているんだぞっていうことを感じてほしい。多肉や観葉植物は変化がわかりにくので、植物ではなくインテリアになってしまう。」 のだそう。

確かにインテリア植物と言われます

「芽が出て、葉がでて、花が咲いて、時には枯れてしまうかもしれない、でもそういう植物が生きているんだぞーと日々主張してくる品種の方が、生き物を育てる苦労もわかるし、喜びも大きいと思う。まずは植物を愛し、楽しむ心を初心者の人にこそ知ってほしい」

成長が見えるのは楽しい

愛情をかければこんなに大きくなることも

先生曰く、愛情を込めて育てれば最初は枯らしてしまってもいいらしい、そもそも毎日ちゃんと面倒を見ていれば枯れることも、そうそうないらしい。なぜ元気がないのか、どうして枯れたのか日々観察し、学ぶことで植物を育てる気持ちも育っていくのです。

春になると新しい芽が出て、そして成長する

この話を聞いた時、気軽な気持ちで聞きに来た私を殴りたいような感じでした。私が初めて植物を好きになったのも、そういえば夏休みに配られた朝顔の観察キットでした。種を植えて芽が出た時のあのドキドキやワクワクは何物にも変えられない感動でした。

植物を育てるあの感動よ、再び!

それと同時に枯れた時の悲しみ。植物は物言わぬインテリアなどではなく、生き物だということを教えてくれました。そんな大切なことを忘れ、手っ取り早く育てやすい植物聞いちゃお! と思っていた私を反省です。

さすが植物に愛情深い先生!

初心者こそ挑戦せよ!
伊藤先生のお話を聞いて、初心者の方こそ、チャレンジしてもいいのかなと思いました。ランなども昔は愛好家が楽しむ植物のような印象でしたが、近年では家の気密性などから誰でも育てやすいものになっているそうです。

ラン綺麗

ランでなくても、自分の力で花を咲かせることができた、という経験は大きな喜びと自信となり、次の植物への活力になると思います。もちろんそこで、多肉植物や観葉植物などに興味を持ち、植物栽培の幅を広げていただけるといいかなと思います。

植物を育てる心を育もう

植物販売の専門家に聞きに行く
伊藤先生のお話を聞いて、私も何か育てたい、でも選べない! となったので、植物販売のプロに話を聞きに行くことにしました。

というわけでやってきました!

ここ山手苑は江戸時代から屋号は変わっていますが、400年も続く老舗のお店です。造園や植物レンタル、空間演出、植物販売など、植物に関することならなんでもやっています。

植物がたくさんの素敵な空間!

ここ山手苑の2代目(江戸時代から屋号を変えて5代目) の田中南斗さんにお話を伺いました。田中さんは植物を題材に空間を提供したり、様々なアーティストとコラボレーションしたりと、植物に関するあらゆることを提供している、植物の何でも屋さんです。

山手苑 田中南斗さん

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本日はよろしくお願いいたします。田中さんは東京農業大学の卒業生なんですよね?
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そうです、造園科学科という、庭づくりやまちづくりなどを研究している学科の卒業です。
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今回初心者にオススメの植物ということで、農大の先生に話を聞いたのですが、
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植物の成長が見えるものがオススメと言われたんです。
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そうですね、植物に触れ合って、楽しい気持ちをまずは知ってもらわないと!
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やはり! 私なんとなく初心者には育てやすい簡単なもの勧めれば良いんだと思っていました。
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赤ちゃんはミルクでも飲んでな! みたいな気持ちで。
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なんで赤ちゃんにそんな冷たいのか知らないですけど、伊藤先生の言っていることは正しいですね。
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インテリアになっちゃうと興味が失われがちで、枯らしてしまいやすいです。

まずは興味を持ってもらうことが大切

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僕はまず植物そのものでなくても、このような絵の綺麗な本などで、植物を好きになってもらうようにしています。

植物を好きになることからはじまります

植物の選び方

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なるほど。初心者はどのように植物を選ぶと良いと思いますか?
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幾つか方法があります。まず一つ目は、友人や育てている人にプレゼントしてもらうという方法です。
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えっ!プレゼントだと自分で選んでないし、ぞんざいに扱いそうな気もしますが…
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実際はその逆だと思いますよ、人からもらったものは簡単には枯らせないし、大事にするじゃないですか。
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まあ、確かに。でも、好きになれるかな…
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そうですね、でもこれも出会い方の一つだと思います。植物はコミュニケーションツールの一つだと思っていて、
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相手に想いを伝えるものじゃないですか。きっと相手のことを考えて植物はプレゼントしていると思いますよ。
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そうですね! きっとプレゼントしてくれた人は、私の親しい人で、
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私に合うと思ってその植物をプレゼントしているはずですもんね。
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そうそう。結婚と一緒で、恋愛結婚もあれば、お見合い結婚もあるわけです。
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それと同じようなものだと思いますし、きっかけはどうあれ、出会いに変わりありません。

植物との運命的出会い

好きな植物を連れて帰る

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では、植物との恋愛結婚の場合はどのように出会えばいいですか?
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うちのような植物販売の専門店で、自分で選んでもいいですし、もし全くわからないようなら、
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働いているスタッフに好きな植物を訪ねてみるといいですよ。
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店員さんの好きな植物ですか?
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そうです。こういう店のスタッフは植物好きが多く、専門というか得意分野があるんです。例えば僕なら観葉植物が専門です、
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だから観葉植物のオススメや愛ならいくらでも語ることができます。そういう人に勧めてもらうのも面白いですよ。
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なるほど。店員さんの得意分野から攻めるパターンですね。育てている時も相談に行きやすくなりますね。
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そうです。または、店内を回って、気に入った植物を買って帰ってもいいと思います。極論を言えば散歩などしていて、
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採集可能な場所で気に入った野草を掘って持ち帰って育てるとか。構えずにそれくらいから始めてもいいと思います。
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それ、面白そうだけど、山手苑さんにとっては植物売れなくなったら困るんじゃないですか。
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いえいえ、そんなことありませんよ。興味を持ってくれればもっと他の品種などに手が伸びるものですし、
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栽培方法などでこだわりも出てくるものです。でも、ぜひ、お店にもふらっときてください!

植物との出会い方は様々

植物を選んでみる
田中さんに話を聞いて、植物とは様々な出会い方があるのだとわかりました。一番はいいなと直感的に思ったものや好きなものを育てるということ、確かに店内を回ってみると様々な植物が所狭しと置いてあり、見ているだけであれもこれも育ててみたくなります。

店内なのに外みたい!

私もアドバイスを受けながら店内を周り、花のつぼみが可愛い山野草「ハゴロモキンポウゲ」 を購入しました。モロッコなどの北アフリカ原産で、羽衣のような美しい花を春に咲かせてくれます。

なにがいいかな〜

迷っちゃうな〜

盆栽もつきあうなら早いうちがおすすめ!

盆栽等は何百年とかかるものもあるらしく、完成系を自分が見られない場合もあるそうです。ずっと付き合い、次の世代に伝えていく植物というのも、なんだかロマンがあります。

私はハゴロモキンポウゲにしました!

鉢を選ぶのも楽しい

鉢などをオリジナルでリメイクしたり、お気に入りのものやおしゃれなものにしたりしてもテンションが上がり、育てる楽しみが継続されるそうです。初心者の方は色々試してみるといいかもしれません。

オリジナルで工夫しても楽しい

花屋さんなら植え替えも教えてくれる

買いました!

春から植物を育てる皆さんへ
春から植物を育ててみたいみなさんは、ぜひ育てたい植物を探す、もしくはもらう所から始めてみてください。きっと植物と暮らす楽しみを知り、生活がより豊かなものになるはずです。そして一緒に成長していってみてください。

そのうち、うちの子が〜とか言い出します

植物と仲良くなれるイベント開催中
田中さんが所属する植物大好きユニット「プランタリウス」が植物のかっこよさや楽しさを伝えるイベントを3月13日までLIFULL HUBにて開催中です。植物のある空間を体験できたり、ちょっと珍しい植物の販売もしているそうです。ぜひ立ち寄ってみてください。

植物を楽しめるイベント開催中です!

美しい植物の写真集もあります

イベント詳細:Life with a plant
https://www.facebook.com/events/151817325435754/

取材協力
東京農業大学厚木キャンパス植物園
http://www.nodai.ac.jp/campus/facilities/farm/

山手苑
http://yamateen.com/index.html

最後はこの曲でお別れです
『はなはな』
詩・曲 おかミルク六郷土手
編曲  山田哲郎

みているだけで美しい 
春咲く花は明るくて
光の中にとけていく

白いベールのその先に
赤い情熱携えて
ピンクに染まる
春の花

甘い香りに包まれて
夏咲く花は妖艶で
光を放ち浮いている

緑のまつげに降る雫
大輪の思い携えて
甘くとろける
夏の花

花は咲き、枯れていく
芽が出たら、もう春だ
止まらずに
確実に
また会えるよねと待っている

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