社会の教科書で「パイプライン」というものを見た。石油や天然ガスを輸送するための施設で、パイプが電線のように続いている。アラスカやロシアなどでよく使われていると書いてあった。
これを以前から生で見たいと思っていた。教科書で得た知識を自分の目で確かめてみたかったのだ。しかし、大規模なものは海外にしかない。そこで、ロシアまでパイプラインを見に行くことにした。
憧れのパイプライン
憧れている景色というものがある。本やテレビで見て、いつか自分の目で見てみたい、と思う景色だ。それは日本の原風景だったり、海外の歴史的構造物だったりする。誰しもそんな景色があるのではないだろうか。
学生時代、社会の教科書に「パイプライン」の写真が載っていた。私はいつかこれを生で見てみたいと思っていた。ビールと牡蠣とパイプラインは生に限るのだ。自分の目でパイプラインを見たくて、見たくて、でも見れずで15年が経っていた。
パイプラインで有名なのは「ロシア」や「アラスカ」である。石油や天然ガスをパイプラインで運んでいるのだ。大規模なパイプラインを見るにはロシアかアラスカ、いずれにしろ海外に行かねばならない。教科書で見たパイプラインも海外だった。遠いのだ。だから15年も見れずにいたのだ。
ロシアのパイプライン
パイプラインを見るためにロシアにやってきた。15万円かかった。ロシアには世界最長の石油パイプライン「ドルジバパイプライン」があるのだ。ただ、それを見るためにどこに行けばいいのか分からなかったので、とりあえずモスクワでパイプラインを探した。
世界最長を見たいけれど、ロシアは広すぎてよくどこに行けばいいのか分からなかった。街にある看板や、レストランのメニューなども基本的に英語はなくロシア語オンリーで、よく分からないのだ。でも、きっとロシアなら、その辺にパイプラインくらいあるだろう。
もちろんロシアまで来てパイプラインがなかったら、という思いはある。もっと事前に調べておけばとは思う。でも、調べてないのだ。ロシアに来て調べようと思ったら全部ロシア語でよくわからん。パイプラインはないのかもしれない。
パイプラインを見る
ロシアに来たのに、パイプラインがないかもしれない! とドキドキしていたら、あっさりあった。すまし汁くらいあっさり見つかった。空港から10分弱歩いたら普通にあった。ロシアはパイプライン大国なのかもしれない。
人生初のパイプラインである。社会の教科書で見たものが、私の瞳に生で映っている。動物が通るためだろうか。ところどころが、漢字の「風」の中に「虫」みたいなのがない状態になっている。感動である。教科書通りだ。
このパイプの中に、石油か、天然ガスが流れているのだ。耳を当てても何も聞こえないけれど、石油か、天然ガスが流れているのだ。教科書にそう書いてあった。パイプラインに憧れて15年。やっと夢がかなった瞬間だ。
どうも違うらしい
パイプラインの近くにいた人に話を聞いた。もちろん日本語は通じないし、ロシア語もできないので、中学校の頃の英語の教科書を思い出して、「これはパイプラインですか?」と聞いた。人は結局、教科書に戻るのだ。
地元の人の話では「パイプライン」であることは間違いないらしい。ただ教科書で読んだ、石油や天然ガスのパイプラインではないようだ。地元の人は言った。「水とお湯だ」と。何度聞いても「水とお湯だ」と彼は繰り返した。
教科書で見たパイプラインとは違うようだ。世界にはいろいろなパイプラインがあるのだ。ただパイプラインの本場「ロシア」でパイプラインを見ることができて、よかったとしようではないか。ちなみに地元の人はアルメニア人でロシア人ではなかった。
おまけ
パイプラインも憧れだったけれど、私は競馬も好きなのだ。競馬場が見える中学校に通っていて、拾ったエロ本をクラスメイトに売って、そのお金で競馬雑誌を買うくらい好きなのだ(その件についてはコチラ)。エロより競馬なのだ。
ロシアの競馬は日本の競馬とは異なる。日本では騎手が馬にまたがる。これが日本の競馬のスタイルだ。しかし、ロシアでは、馬が車輪のついたソリみたいなものを引っ張るスタイルなのだ。
競馬場は雪でとても美しかった。競馬がこの記事で「おまけ」程度の扱いなのは、馬券を買っていないからだ。ロシアの旅費15万円。それを払ったら全然お金がないのだ。ロシアでも、よく分からないケバブみたいなのだけを食べていた。
でも、見るだけでもいいじゃない。美人とかは見るだけでも嬉しかったりする。それと全く一緒。美しい競馬場だったので、それでいいのだ。美人は見るだけでもいいのだ。本当は付き合いたいけど。そんな強がりを言いたくなるロシアだった。
ロシアに行こうぜ!
石油や天然ガスではなかったけれど、本場「ロシア」でパイプラインを見るという夢は叶った。馬券は買わなかったけれど、競馬場を見るという夢も叶った。ロシアは夢が叶う場所なのかもしれない。ただ知り合いにパイプラインを見たいという話をしたら、「なんで?」と言われた。見たいものは人それぞれなんだと知った。
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