ホットドッグというものがある。細長いパンの中央に切れ目を入れて、そこにソーセージをはさんだものだ。アメリカの食べ物だ、たぶん。アメリカでは、日本の寿司的な位置にホットドッグがあるのだ、たぶん。
そんなホットドッグは、もちろん日本でも食べることができるのだけれど、東京・福生市では「福生ドッグ」なる、オリジナルのホットドッグを作っている。食べ歩かねばならない、アメリカンな人々は。
ホットドッグへの愛
人それぞれに好きな食べ物がある。寿司が好きな人もいれば、焼肉が好きな人もいる。和食が好きな人もいれば、洋食が好きな人もいる。年上が好きな人もいれば、年下が好きな人もいるだろう。そして、ホットドッグが好きな人も。
忘れてはならないのがホットドッグなのだ。カフェなどに行けば、ホットドッグがあるお店が多い。それはなぜなのか、みんなが大好きだからだ。日本人だけど、心の片隅の四畳半一間の物件にアメリカンが眠っているのだ。
ホットドッグはアメリカな感じがするけれど、日本にも美味しいホットドッグを食べさせてくれるお店がある。お店というか、町があるのだ。それは東京・福生市。2011年から「福生ドッグ」というホットドッグを町内のお店で提供しているのだ。
ハロー福生ドッグ
東京福生市は都心から40キロという場所に位置する。中央線でビューンと行ける場所だ。在日アメリカ空軍の基地「横田基地」があったり、アメリカっぽい街並みがあったりなど、異国情緒が楽しめる街だ。
異国情緒と聞いていたので、異国情緒で福生を訪れた。アメリカと言えば「デニム」だ、たぶん。そこでデニムのシャツに、デニムのジャケット、デニムのズボンにデニムの靴。そして、アメリカの国旗を持って訪れた。アメリカ人よりアメリカンである。
福生には「福生ハム」と「大多摩ハム」という2つのソーセージやハムなどを作る会社がある。福生ドッグは、この2つの会社が作ったどちらかのソーセージを使ったホットドッグである。10ほどのお店が福生ドッグを提供しており、それぞれに工夫がなされているのだ。
最初に訪れた福生ドッグが食べられるお店は「クラウドナインベーカリー」。このお店では、福生ハムと大多摩ハム、それぞれのソーセージを使った福生ドッグを提供している。悩んだらここかもしれない。
食べる前から、美味しいだろう、ということが想像できる。私のアメリカンが騒ぐ。騒いだ結果が、この格好なのだけれど、さらに騒ぐのだ。福生ハムがドイツ風、大多摩ハムがタコス風のホットドッグなので、アメリカンではない気もするけれど。
間違いなかった。美味しい。めちゃくちゃ美味しい。でかいソーセージを噛み切る時の音がいい。またパン屋さんのホットドッグなので、パン自体も美味しい。アメリカに行ったことがないのだけれど、本場のホットドッグと認定したい。この格好だから認定する権限があると思う。
シュトゥーベン・オータマ
福生ドッグはまだまだ続く。次は大多摩ハムが運営する「シュトゥーベン・オータマ」。福生ドッグの半分を担う会社が直々に運営しているレストランだ。もちろんここで福生ドッグを食べることができる。
東京Xというブランド豚を使った色白のソーセージと、東京Xを使ったベーコンがオシャレなパンに仲良くはさまっている。ちなみにソーセージはドイツ式伝統の直火スモークソーセージ。アメリカではないのだ。でも、安心して欲しい。パンに挟めばアメリカンだ。
撃ってしまった。美味しくてつい撃ってしまった。アメリカンの血が福生ドッグから私に流れ込んできた。その結果、撃ってしまったのだ。それほどに美味しいのだ。自然と出たのだ。しかも、撃ち終わった後は「フー」ってした。美味しい証拠だ。
貴重なのかも
福生ドッグは福生ハムや大多摩ハムを使ったホットドッグだけれど、この2つの会社のソーセージなどはあまり地元のスーパーにも置いていなかった。大都市のデパートなどに卸すのが主で、あとは直営店的なところで買うしかないようだ。
横田基地周辺の道はアメリカンなお店が多い。チェーン展開してないヴィレッジバンガードみたなお店がたくさんあって、その外観がアメリカンなのだ。そんな場所が私によく似合った。本来のミーはアメリカンなのかもしれない。不意に英語がでることがあるし。英語は話せないけど。
ジェシージェイムス
次の福生ドッグは、ジューシーなソーセージとチリコンカーンの組み合わせが楽しめる「ジェシージェイムス」。アメリカンな佇まいで私がよく馴染む。私こそがアメリカなので、私に馴染めばアメリカなのだ。
アメリカンな店内も私を満足させた。ランチタイムはドリンクバーをやっているのだけれど、ファミレスのドリンクバーとは異なる。本当のバーカウンターに飲み物が置いてあって、自分で注ぐタイプだ。これぞ本当のドリンクバーだ。
ケチャップやマスタードではない。奥の小皿にピクルスとチリコンカーンが入っている。このチリコンカーンをホットドッグにかけて食べるのだ。チリコンカーンもアメリカの国民食のひとつ。ピリ辛でよく福生ドッグに馴染む。
美味しい。アメリカンウェーヴが容赦なく来ている。いま私の体の98%がアメリカンだ。残りの2%は柴犬が好きなので、その分だ。福生にアメリカがあったのだ。美味しいのだ。ケチャップじゃなくても、マスタードでなくても、ホットドッグは美味しいのだ。
ブレッドガーデン
いよいよ最後の福生ドッグのお店となった。お腹がいっぱいなのだ。アメリカンにも満腹という感覚があるのだ。底なし沼ではないのである。それがアメリカンの証拠だ。日本人も満腹になるし、というかこれだけ食べれば誰もが満腹になるけれど。
最後のお店は「ブレッドガーデン」。サクサクしたパンが特徴の福生ドッグだ。ピリ辛のサルサソースと玉ねぎ入りのチーズクリームソースがパンとソーセージを盛り上げる。そこに私のアメリカンが加わり、いま福生は独立記念日状態だ。
サクサクというのがお口の中で弾ける。ホットドッグのパンはイメージだと、サクサクよりか柔らかいけれど、サクサクもまた合うのだ。ソーセージもまたサクサクを求めていたのかもしれない。ディープインパクトなのだ。アルマゲドンなのだ。
福生はアメリカンで!
福生に到着した頃は、自分のアメリカン具合を恥ずかしくも感じていた。家から1時間ほどで福生なのだけれど、ずっとこの格好で来たのだ。ただ福生で福生ドッグを食べるに従い、だんだんとこの格好が正しいように思えた。むしろこの格好でないのが恥ずかしい。福生の誰もがこんな格好をしていなかったけれど。すれ違ったアメリカ人よりアメリカンだったけれど。
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