熊との戦い方

コラム
小菅村にももちろんいます!(撮影:中川 徹 氏)

kuma

熊出没注意!
クマは、我が国における最強の野生生物です。
北海道にヒグマ、本州以南にツキノワグマが生息しています。
毎年、250人くらいの人が襲われ、亡くなる人も2,3人います。
ツキノワグマは、東京のお隣「山梨県」にも出没しています(私がよく行く山梨県の小菅村周辺にも)ので、注意が必要です。
写真の人は、「クマ出没注意」の看板があるにもかかわらず、心霊写真に夢中になっています。

こんない浮かれていると…

こんなに浮かれていると…

一番危ないパターンです。一歩間違えると本物の心霊写真になる恐れがあります。

ツキノワグマの特徴をまとめると次のとおりです。

ツキノワグマってこんなやつです。

ツキノワグマってこんなやつです。

ある日森の中で
ツキノワグマに襲われないための留意点をお話します。

まずは、クマに出会わないようにすることが最重要です。
「熊鈴」と呼ばれる鈴を持ち歩く人も多いのですが、熊鈴を鳴らして山道を歩いていると、「熊鈴がうるさい」と文句を言われることがあります。
うるさいと文句をいう人がいる場所であれば、人がけっこういるということですので、クマに出会う可能性はほとんどありません。
熊鈴は、人が大勢いる場所では鳴らす必要はなく、自分たちしかいない場所で鳴らすのがいいでしょう。
数人で歩く時は、先頭と一番後ろは、クマに襲われる可能性があるので、避けましょう。(グループの仲間には黙って、真ん中を歩きましょう。)

万一、クマを遠くに発見した時には、ゆっくり落ちついてその場を離れましょう。その際には、クマに背を向けずに、クマを見ながらゆっくり後退して下さい。
走ったりしてはいけません。クマは時速40キロ以上、100メートルを7秒台で走ることができます。陸上のボルト選手や桐生選手でも逃げ切れません。

親子の時は要注意!

親子の時は要注意!

万一、クマに突然目の前で遭遇し、やむを得ず戦わなければならない時はどうしたらいいでしょう?

クマ撃退スプレーがありますが、クマ撃退スプレーはクマの5m以内で噴射しなければ当たりません。かつ5秒程度しか使えません。よほど慣れた人しか使用できないと考えたほうがよさそうです。
ナタを持っていれば、ナタを振り上げ威嚇します。何も持たずに威嚇しても迫力がないので、弱々しい威嚇になってしまいます。クマは目が悪いのでナタは見えないのですが、気合いです。いかにも強そうに気合いを入れてナタを振り上げるかがポイントです。

武器を持っていない場合はどうしましょう?
百獣の王を目指している武井壮氏は、クマと戦い方を発表していますが、相手はクマモンなので参考になりません・・・。

果たして、彼は、ツキノワグマに勝てるでしょうか?
ツキノワグマは、身長110~150cm程度ですから、決して勝てない相手ではありません。

クマとの戦い方なるものを、ネットで見つけました。
クマの背中にまわり、首を絞めるというもので、武井氏のクマモンとの戦い方と同じです。しかしこれでは勝てないでしょう。

熊にまたがり、金太郎さんの場合
もっと論理的・戦略的にクマとの戦い方を研究しましょう。

昔、クマと戦い、見事に勝利した先人に学びましょう。
金太郎さんです。後の坂田金時です。「キンタロー。」ではありません。

熊にのってる!

熊にのってる!

金太郎は、どのようにしてクマに勝利したのでしょうか?戦いの記録を調べます。

まずは、童謡の「金太郎」で検証してみましょう。

一、 まさかりかついで きんたろう くまにまたがり おうまのけいこ
ハイ シ ドウドウ ハイ ドウドウ ハイ シ ドウドウ ハイ ドウドウ
二、 あしがらやまの やまおくで けだものあつめて すもうのけいこ
ハッケヨイヨイ ノコッタ ハッケヨイヨイ ノコッタ

金太郎が、クマにまたがっていたこと、クマも含めてけだものと相撲の稽古をしていたことはわかりますが、どんな技だったのかわかりません。
(注1)「クマの背中にまわり、首を絞める」という戦い方は、「くまにまたがりおうまのけいこ」の箇所を、クマとの戦い方と間違ったものと思われます。
(注2)金太郎は、動物たちを集めて相撲をしましたが、「けだもの」ですので、可愛らしいうさぎさんたちも含まれるかは、他の研究に譲ります。

そこで、日本の童話の父といわれる楠山正雄の「金太郎」を調べてみました。

……。 すると金太郎は、「何だ、熊のくせに。金太郎を知らないか。」と言いながら、まさかりをほうり出して、いきなり熊に組みつきました。そして足がらをかけて、どしんと地びたに投げつけました。熊はへいこうして、両手をついてあやまって、金太郎の家来になりました。・・・・
(出典:青空文庫「金太郎」)

さすがに、金太郎は武器を使わずに、正々堂々と素手で戦って勝っています。
「足がら」とは、足を絡めて倒す技です。
金太郎は、クマに組み付いて、足技で倒しています。
(注3)クマの足は短いので、内掛けでなく外掛けが有効でしょう。
(注4)「両手をついてあやまって」は誤りで、「前足をついてあやまって」が正しいはずです。

最近、金太郎流のクマとの戦い方で、実際にクマと格闘の上、助かった人の話です。
クマは、ボクシングで言えば、フックで相手を倒します。
まともにパンチを食らうと一発でダウンを喫するでしょう。
しかしクマはクリンチされると相手を引き離すことができないそうです。
それで、その人は、とっさにクマに抱きつき、押し倒し、クマと一緒に崖を転げ落ちました。するとクマは逃げて行ったそうです。

熊からの身の守り方
まとめです。
クマの懐に飛び込み、もろ差しになり、外掛けをかけて、そのまま土俵下(崖下)に押し倒すのが、クマとの戦いの必勝法です。

なお、先ほどのクマに勝った人も大怪我をして入院しましたので、相撲に自信があっても、けっしてこちらからはクマに勝負を挑んではいけません。

小菅村にももちろんいます!(撮影:中川 徹 氏)

小菅村にももちろんいます!(撮影:中川 徹氏)

文:篠原宏(農大学術研究員)

*基本的にツキノワグマはおとなしく臆病な動物です。熊と人間、お互いに気持ちのいい暮らしができるといいですね。

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