人は誰しも幸せになりたいと思っている。幸せにもいろいろあり、彼氏がほしい、お金持ちになりたい、健康でいたいなど人それぞれだ。一生懸命努力すればいいのだろうが、これがなかなかめんどくさいし時間がかかる。誰しもできれば簡単に手っ取り早く幸せになりたいのではないだろうか。
そこで、お正月にゲンを担いで、簡単に今年誰よりも幸せになろうと思う。
鶴と亀
縁起がいいといわれる食べ物や、縁起がいい行いをすることで福をわがものにしようと、昔から世界各地で様々なゲン担ぎが行われてきた。日本人もゲン担ぎが大好きで、特に1年の初めである正月には多くのゲン担ぎが行われてきた。
そんな縁起物の中でも、日本人になじみ深く愛されてきたのが「鶴と亀」だ。鶴と亀は愛情、健康、金運など様々な縁起物として昔から愛されてきた。正月の飾りやデザインにも使われる縁起物の代表格だ。
鶴と亀が揃っているところを見ることができれば、かなり縁起がいいはずだ。なんせ餃子にビールみたいな最強の組み合わせだ。今年一年が幸せあふれる良い一年になる気がする。そこで、鶴を見に行こうと思う。ただの鶴ではない、日本を代表する鶴、タンチョウを見に北海道へ。
日本で唯一タンチョウが来る駅
タンチョウを見るために、日本の最大生息地である釧路にやってきた。日本のタンチョウ生息地は北海道道東なのだが、特にこの釧路に多くのタンチョウが生息している。
釧路では鶴居村など様々な場所でタンチョウを見ることができる。一時期は乱獲や農地の開発などにより減少していたが、環境省や地元の方が生息地の保護や冬季の給餌などの努力により、現在では再び生息数が増加しているそうだ。
今回は、その中でも日本で唯一タンチョウが駅に訪れるというJR釧網本線「茅沼駅」に向かう。駅でタンチョウを見ることができるなんて、労せず幸せになりたい私にはぴったりだ。本当にいればだけど。
電車には正月にもかかわらず多くの人が乗車していた。もしかしたら縁起物を求めて、私と同じようにタンチョウを見に行くのかもしれないぞ、と思ったが、駅で降りたのは私を入れて2名だけだった。そんなにみんな縁起を必要としていないのかもしれない。
タンチョウとご対面
駅に降りると、すぐ目の前にタンチョウがいた。実は降りる前からいることはわかっていた。思っていたより大きいのだ。日本最大級の野鳥で1m40㎝くらいある。羽を広げるとさらに2m40㎝くらいになるらしく、雪の中でも赤い頭頂部やその美しいからだが目立つ。
地元の方に聞くと、同じ時間に餌を食べに来るそうだ、しばらくすると駅の裏にある餌の給餌上に線路をのぼってきた。他にも大きな給餌場はあるが、コンビニ感覚でよっていくのだ。
2匹の鶴が優雅に食事している。物音を立てたらたちまち飛んで行ってしまうのではないかと思い、息をひそめて観察した。神々しくて、なんだか繊細な気がする。
鶴を見ながら亀を食べる
本当は鶴と亀、そして私の3ショットを撮影したかったのだが、亀を用意できなくて、急遽代わりに亀ゼリーを用意した。飛行機で一緒に来られる亀がこれしか思いつかなかったのだ。鶴と出会った亀ゼリーなので食べれば、なんかめでたい気もする。
私も今回初めて亀ゼリーを食べたのだが、本当に亀のエキスが入っている。味はゼリー味。何のゼリーかと問われれば、それは答えられないが、とにかくなんか食べたことがあるゼリー味だ。それ以上でも以下でもない。
たくさんいる・・・
貴重なタンチョウも見ることができたし、亀ゼリーはなんかすでに健康に良さそうだ。これで今年一年も良い一年となりそうだ。無事にゲンを担ぐことができた。2羽はそれを見届けたかのように、大空へと羽ばたいていった。
次の電車が約2時間後なので、周辺を散策して時間をつぶそうと、くしろ湿原パークまで(駅から15分弱)散歩に行ってみることにした。寒い中頑張ってたった2羽だが鶴を見られてよかった、という安堵と達成感でいっぱいだ。タンチョウを見ずにどこかに行ってしまった同じ電車の乗客にも見せてあげたかったと思いながら、くしろ湿原パークの入り口に到着した。
めちゃくちゃいた。さっき駅で感動していた私はなんなの、というくらいいる。なんならさっきの2羽もいるんじゃないの? というくらいいるのだ。
ここくしろ湿原パークには「憩の家 かや沼」という温泉施設があり、温泉客の皆さんも風呂上りにタンチョウをゆっくり観察できるそうだ。さっき一緒に降りた乗客の方もいた。なんだ、みんなここにいたのか。ぽかぽかで幸せそうに鶴を見ていた。
今年もよろしくお願いします
とにかくめでたいものが見られたので満足だ。鶴たちは意外と人間が近くに来ても、車が横切っても平気な顔で餌を食べていた。さっきの神々しさはなんだったんだか。でもそんな人間らしい鶴たちを見て、恩返しを期待して待たずに、今年も自分の努力で頑張ろうと心を新たにした。幸せは自分で手に入れないといけないようだ。今年もそんな多摩川源流大学をよろしくお願いいたします。