フードロスというものがある。最近よく聞く言葉で、簡単に言えば、まだ食べられる食べ物を破棄したり、生産や加工の現場で誰かの口に届く前に捨てられてしまう食べ物のことだ。いま世界中でフードロスが問題になっている。
フードロスをやめよう、というのは簡単だけれど、これは非常に難しい問題だ。まずは自分でできる身近なところから始めるのがいいだろう。ということで、人の胃袋にはどの程度の量が入るのか調べてみたいと思う。
フードロスとは
日本でフードロスされる食べ物は年間で約643万トン。そのうち飲食店など事業系のロスが約352万トンで、家庭系のロスが約291万トンとなっている。国民一人あたりで考えると毎日お茶碗1杯分ほどの食品が捨てられていることになる。
どこでフードロスは起きているのか。規格外などで破棄される製造段階、売れ残りなどで破棄される流通段階、調理くずや食べ残しの消費段階(外食・家庭)がある。あらゆる段階でフードロスは生まれている。
なぜフードロスがダメなのか。もちろんもったいない、というのはあるけれど、家庭から出るロスの多くは焼却や埋め立てとなり、焼却には化石燃料を使うので、二酸化炭素排出量が増える。そもそもロスされるものを運ぶので、輸送段階でも多くのエネルギーが必要となる。
詳しい人に聞きました
フードロスがよくない、というのはわかった。そんなことはなんとなくわかっている。では、どうすればいいのか、というのを「フードロスの学校」の校長「平井巧」氏に聞いてみたいと思う。
フードロスの学校
https://salvageparty.com/flwschool002-2
校長は言う。「個人でフードロスの価値観を持つことが大切」と。そうなのだ。たとえば、煮物を作るときに面取りをする。面取りをすることで見栄えや煮崩れを防止できるけれど、食べる部分を捨てることになる。ただそれは食品を美味しく食べるために必要なこと。誰もこれをフードロスとは呼ばないだろう。
人参の皮も別に剥かなくても食べることができるけれど剥く。フードロスとしては捨てているかもしれないけれど、美味しく食べるためには必要なこと。このように単純に食べ物を捨てる事をダメだ! と善悪で判断するのではなく、個人でどこまで許容できるか決めればいい、ということなのだ。
それにたとえば、皮を剥くな、となればピーラーを作っている会社はどうなるのか。ビーラーが売ることができなくなる。いろいろな側面から考えなければ、フードロスの問題は解決しない。一つの方向から見るのではなく、多角的に見なければならない。フードロスの学校ではそのようなフードロスに取り組みたいそうだ。
結婚式や宴会でのビュッフェなどでも食べ残しが発生して破棄が生まれる。これも難しい問題で足りなければ不満が生まれるし、多ければ破棄が生まれる。考えれば考えるほど、一筋なわではいかない。
生産段階の印字ミスやズレなども機械で仕分けされ自動的に破棄される。最近は食べられる規格外品や生産余剰品を企業から消費者につなぐプラットフォームも生まれている。平井校長も家庭での余り物を持ち寄り、プロが調理してみんなで食べる「サルページパーティー」を主催している。
家庭では何ができるのか。やはり買いすぎや、作りすぎをしないこと。そのためには、己の限界を知ることが大切だ。自分が食べられる量を知れば、買いすぎも、作りすぎも生まれない。平井家では、作りすぎはまずなく、足りないもないそうだ。全ては己の限界を知っているからだ。
人によって限界は違う
まず簡単にできるフードロスは己の限界を知ることなのだ。そのためにはまず、限界を調べなければならない。ということで、お米を5合炊いた。福井産のコシヒカリだ。これを平井さんと私で食べてそれぞれの限界を知ろうと思う。
少食の人もいれば、大食の人もいる。お茶碗からして平井さんと私では異なる。地主家では昔からお茶碗と言えば丼だった。平井さんはいわゆるお茶碗だ。このように個人差があるので、家々で己の限界を知ることが必要なのだ。
平井さんは1.5合、私は3.5合を食べた。炊いたお米の1合は約350グラムなので、平井さんの限界は525グラムだ。ちなみに私はまだ食べられたのでたぶん4合はいける。そうなると私の限界は1400グラムということになる。
人によってこんなにも食べられる量は違う。これを知ることで、買う量、作る量が変わるので、フードロスを減らすことができるかもしれない。ということで、フードロスの第一歩として、己の限界を知るところから始めようでないか。
フードロスを考える
平井さんが校長を務める「フードロスの学校」では、フードロスをこうしなければならない、ではなく、こういう考え方もある、ああいう考え方もあると多角的に見て、一緒に考えていく。ゴールはフードロスが減ることだけど、そのプロセスはいくつもあるので、どれが正解かはわからない。まずはできることからだ。
フードロスの学校
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