人は誰しも荷物を送る時に、どうか中身が無事であってほしい、と祈る生き物です。せっかく心を込めて送った荷物も、中で動いてボロボロになっていたら、送った方も受け取った方も悲しいし、気まずいものです。
そこで、昔使われていた梱包材「シロツメクサ」で荷物が安全に送れるのか検証してみました。きっとシロツメクサが荷物だけでなく、幸せも運んでくれるはずです。
今年はシロツメクサが凄かった
2020年の春は、コロナの影響でみなさん自宅待機をしていたのではないでしょうか。私もその一人で、テレワーク中は健康のため毎日お散歩に行っていました。2時間もかけて通っていた、あの憎き通勤路が私の健康を支えていてくれたことに、ごんぎつねのような感謝を覚えました。
そんな散歩する毎日の中、凄い光景を目撃してしまいました。それはシロツメクサの大繁殖。
コロナの影響で市業者による刈り払いなどが行われなかったためか、めちゃくちゃシロツメクサが繁茂していました。まるで夢の中のような光景で、コロナで冠作り放題だなと思っていました。
シロツメクサとは皆さんよくご存知の四葉のクローバーのお花です。公園や道端などで一度は目にしたことがある植物だと思います。豆科の植物で、土を豊かにするための緑肥などにも使われたりします。子どもの頃に王冠を作って遊んだ方もいるのではないでしょうか。私はその王冠に大量のアリが群がっていたことがあります。
よく、植物辞典を見るとその名の由来に「昔は梱包材に使用していたため詰草の名がついた」と書かれています。オランダからのガラス製品などを送る際に隙間に詰めていたそうです。
これは試してみたい、ということで早速シロツメクサを集めることにしました。
シロツメクサを摘む
早速近所の人がいない花畑に来ました。三密を避けたわけではなく、ただ花を積んでいる様子を見られるのが恥ずかしいよな、と思ってのことです。一人でもくもくと花詰んでいるおばさんって、なんか小学生たちに妖怪認定されそうだったので、特に小学生がいない場所と時間帯を選びました。彼らのすぐ話しかけてくるコミュニケーション能力は見習いたいものです。
例年よりも数が多く、また、長く成長しています。とっても摘みやすくてありがたいのですが、下が見えず、手を入れる恐怖はあります。草むらの下の小さな世界には何が潜んでいるかわからないので、慎重に草むらに手を突っ込みます。
シロツメクサだけでもよかったのですが、一緒にムラサキツメクサもあり、こちらの方が花が大きかったのでこちらも摘むことにしました。色もカラフルな方が綺麗だなと思ってのことです。どちらも花がふかふかなので良い緩衝材になりそうです。
梱包材の準備
摘み取って持ち帰ったシロツメクサを、丁寧に洗い、吊るしておきます。よくみるとアブラムシなどの小さい虫がついているので、丁寧にとりのぞきましょう。シロツメクサ特有のいい匂いがして、お花畑の中にいるようです。風通しの良い場所に吊るして、2−3週間しっかり乾燥するまで干しました。
干したシロツメクサは茎をカットし、大切なものと一緒に梱包してみます。触ってみるとふかふかで、確かに品物を守ってくれそうです。今回は仕事で使うシカのくるぶしの骨を送ってみることにしました。普通に送っても割れなさそうなくらい頑丈ですが、念のために。
箱に詰めると、草のいい匂いがします。ハイジの干し草のベッドに憧れた世代なので、一度この布団で寝てみたい。そんなことを思いながら荷物を送り出します。シロツメクサのベッドで良い夢見てね!
無事届きました!
翌日、送り先から無事に届いたよということで連絡が来ました。早速テレビ電話で確認すると、無事に届いています。中身が壊れていないか心配です。中身を確認してもらいます。
よかった。無事に役目を果たしてくれたようです。早速、シカのくるぶしを投げて遊んでもらいます。モンゴルの遊びで「シャガイ」というものがあるのですが、今回はそれを行ってもらおうと骨を送りました。シャガイとは家畜のくるぶしの骨というモンゴル語で、羊や牛のくるぶしで占いや遊びができるというものです。
昔、モンゴル人の友人に教えてもらいハマって以来、大好きな遊びの一つなので、ぜひ体験してもらおうと思ったのです。本来は骨がたくさんないと遊べないのですが、送った骨は1つなので、今回は占いで遊んでもらうことにしました。
4つの骨を使い、投げて出た面で運勢を占うというもので。今回は1つの骨を4回投げてその面で占います。投げて良いなら衝撃材いらないよね? という気づきがありましたが、それは秘密にして遊んでもらいます。
詳しく知りたい方はこちらのサイトが詳しいです!ぜひ!
https://www.tabitamago.jp/mongolia/shagaa.html
4つとも羊が出ると「幸運が長続きします」となります。シロツメクサは幸運のクローバーの力を持っているので、そこに包まれていた骨も、そのパワーを得たのかもしれません。喜んでもらえよかったです。
緩衝材にはシロツメクサを
シロツメクサの名の由来が緩衝材と知ってから、ずっと試してみたいことができました。これも長らく家にいたおかげかもしれません。大変なことも多いけど、日々の暮らしの中に楽しみはあるものです。幸運を運ぶことができてよかったです。