今回は特別編第1弾として、卒業生に登場してもらい源流大学の魅力を紹介してもらいます。第1弾に登場していただくのは、源流大学の理念である「地域で活躍できる人材」をまさに実践してくれている森林総合科学科卒業の小林徹行さんです。
源流大学へ入学
「実学」という言葉に強くひかれて農大に入った私は、源流大学の実習を重視し、現地で全てを学ぶという態勢に心ひかれ、すぐに受講を決めました。
先生は地域住民
源流大学での実習、小菅村での様々な活動は、都会に生まれ育った私には全てが新鮮で、全てが学びでした。竹から籠を編み、藁から縄を作り、獣を獲り、木を伐り、畑を耕し、石垣を組めば、小屋も作る。生活の中で培われた数多くの技、知恵がこの村には残っています。そのような技を持つ方々が住民講師として指導してくださるのです。知らないことだらけ、感動しきり。小菅村に行けば毎回発見がありました。
こうした村にすむ人々が、営みの中で豊かな自然を維持してくれており、そのおかげで今の自分たちの生活は支えられているということ。その事実をあらゆる場面で、実際に肌で感じられるのです。都会に暮らし、それまで当然だと思っていたことや気にもしていなかった様々なことが見えてきて、自分の価値観・既成概念を問い正す良いきっかけになりました。
小菅村は第二のふるさと
さらに、都会生まれではっきりとした故郷を持っていなかった私にとって、小菅村という第二の故郷、大きな基準ができたことは強い自信にも繋がりました。
私は現在、東京大学附属演習林「樹芸研究所」というところで働き、東大が所有する山林で様々な調査・管理業務を行っていますが、小菅村で得た“ナマの学び”が大いに活躍しています。山で、川で、畑で、田んぼで、様々な作業を、色々な道具の使い方を教わってきました
木の伐倒でも、作業小屋造りでも、あらゆる業務で自然と体が動きます。担当となった野生動物管理・調査業務では、猟師さん達に教わった山の見方、歩き方、共に歩く内に養われた“勘”が随所で役に立っています。
「この実を焼酎に漬ければ虫さされによく効く」「この木は固くて水にも強いから杭にするには上等だ」村の方々から聞いた植物の様々な利用法は、学生や一般の方々を山に案内する際に、図鑑に載っていない活きた情報、人と自然の関わり合いを想像してもらう格好の導入材料として使わせてもらっています。
人口の少ない、山の奥のまた山奥の村で鍛えられたのです。
新しい地域にもなんの臆することなくすんなり入っていけたし、仕事でも即戦力として使ってもらえました。是非みなさんも、この様な農山村、源流の村へと積極的に足を運び、豊かな自然とそこで育まれた文化を目一杯に感じて欲しいと思います。
ふるさとに行こう!
スマホをいじっているだけでは決して得られることのない驚きや喜びがそこにはあります。そしてそこで得たホンモノの体験は、必ずや自身の大きな財産となっていくことでしょう。
*今回は許可を得て先日発行された「源流白書〜源流の危機は国土の危機〜源流再生に関する国民へのアピール」(全国源流の郷協議会発行)に掲載された、小林徹行さんのコラムを掲載させていただきました。