人は誰しも、北海道に憧れる生き物です。北海道は広いし、美味しい物は多いし、自然は豊かだし、大切なことなのでもう一度言いますが、美味しい物が本当に多いのです。
まさに日本の食在庫といっても過言ではありません。私もそんな食材王国に憧れる一人です。常に美味しい物を食べていたい、食の探求者でありたいのです。そこで今回は北海道らしい食材のひとつである羊を巡って北海道を冒険することにしました。
食材王国「北海道」
北海道には肉も野菜も魚介類も美味しい物は何でもあります。美味しい物は北海道にありと言っても過言ではありません。
そんな北海道を代表する食の一つに「羊」があります。最初は羊毛の利用で日本に入ってきた羊達ですが、北海道の滝川市にある滝川畜産試験場(旧北海道立種羊場)が老廃羊の活用としてジンギスカンの指導をはじめたのが日本の羊肉利用のはじまりです。
日本で消費されている多くの羊肉はニュージーランド等からの外国産です。国産は年によって0.4%など、ほぼ1%未満という希少さなのです。こうなってくると羊王国北海道でも、国産羊肉料理に出会えるのか心配になってきます。でも、冒険とはすぐに目的が達成出来ない物なのです。
まずは札幌でジンギスカンを食べる
北海道の札幌市に来ました。北海道で札幌に来たといえば、やはりまずはジンギスカンではないでしょうか。北海道の方は花見でもジンギスカンを食べると聞きます。北海道のソウルフードなのです。
ジンギスカンは羊肉特有の臭みを食べやすくするために、リンゴやタマネギ等に漬込み、醤油ベースの甘辛いタレで食べる羊肉料理で、北海道の郷土料理のような地位を手にしています。
札幌に来てキリンビールという、まさかのチョイスですが、ここでは北海道産の山ワサビとともに生ラムジンギスカンとタレ仕込みジンギスカンが両方食べられるのです。しかも食べ放題で。
主に札幌や函館、室蘭、釧路等で食べられている焼く前の肉に味付けをしない生ジンギスカンは臭みも気にならず、羊本来のジューシーさや柔らかさが味わえます。皆さんが知っているタレ仕込みタイプのジンギスカンもタレの香ばしい匂いに食もビールも進みます。
めちゃくちゃ美味しくて、お腹いっぱいになるのですが、ここで食べられるお肉はオーストラリア産。しかし、指定工場からチルドで送ってもらう等の工夫によりほっぺがとろけ落ちます。今の私なら羊一頭食べられそうです。
キリンビール園中島公園店
WEBサイト
次の羊を求めて
羊もこよなく愛す北海道では、羊肉料理も様々あり最近ではラムしゃぶしゃぶなんかも話題になっていました。札幌はさすが観光の中心地だけあって、様々なお店が並んでいます。しかし、郊外にも羊料理の名店があるのです。行ってみるしかありません。
次にやってきたのは、三笠市にある高島屋食堂。ここでは、ボリューミーなのに安くてうまくて、しかももたれないという30後半女性に優しい羊料理があるそうなのです。
それが、オリジナルメニューの中華ラム定食です。ショウガやニンニクがきいた餡がたっぷりかかった羊肉の唐揚げがごはんの上にどどーんとのっていて、一度食べるとやみつきになります。
見た目よりもあっさり食べられるので、気づいたらない、という感覚が生まれるほどぱくぱく食べられます。揚げ物なのに油っぽさがないのも、羊肉がなせる技なのかもしれません。食後感がめちゃくちゃよくて、不思議な料理です。
高島屋食堂 水曜日定休
11:00-20:00
住所:北海道三笠市本町226
電話:0126−72-2650
北海道羊肉文化発祥の地へ
やはり最後は北海道で羊と言えばここ、という場所、はじまりの地滝川市へと向かいました。向かう途中も羊見られないだろうかと、期待を胸に車を走らせたのですが、天気が悪いせいか放牧されている羊を見ることは叶わず。しかも、羊は青い草を食べると肉が臭くなるらしく、肉用の羊は外に放牧することも少ないのだそうです。
まずは羊について情報収集するために道の駅たきかわにいってみることにしました。もしかしたら羊が神棚に飾ってあるかもしれません。滝川と羊とは、ナイフとフォークくらいお互いがなくてはならないものなのです。
道の駅たきかわに行ってみると、右を見ても、左を見ても「あいがも」です。ゆるキャラらしき物も「あいがも」です。しかもめちゃくちゃ美味しそうじゃないか。少し心が折れましたが、道の駅の方に近くで食べられる美味しい羊肉料理のお店を聞いて行ってみることにしました。くじけても冒険は続くのです。
一匹の羊をまるごと味わえるお店
滝川市の羊肉料理を調べると必ず、このお店にヒットすると言われている有名店がこの「La Pecora」(ラ ペコラ)です。お店の名前はイタリア語で1匹の羊という意味らしく、羊をまるごと食べ尽くすと言うコンセプトと羊への感謝を込めて名付けられたそうです。もちろん使っている羊肉はすべて北海道産です。
ここでは、他のお店ではちょっと食べられないような羊肉料理をいただくことができます。
芸術作品かなって思うほど美しい赤身肉は、まったく臭みもなく、噛めば噛むほど甘くなります。チューイングガムはどんどん味がなくなるけど、これは噛むほど味が出てくるのです。ラム肉の刺身味のガムが出たらすぐに買いたいと思います。
次にいただくのは、ラム肉のカルパチョです。サラダと言う草原に再び戻れた羊(肉)が口のなかで優雅に放牧されていきます。肉の甘さとパルメジャーノチーズのハーモニーが、口のなかに広がってはすっと消えていきます。幻想を見ることの出来る料理です。
次は、イタリア等では高級食材として知られる羊の脳みそのフライです、他ではなかなか食べられない一品だそうです。さくっとした衣ととろっとした脳みそが絶妙です。あのふぁふぁで真っ白な羊をまるごと食べているような、そんな感じです。
次の料理もこのお店でないと味わえない一品である、モンゴルの料理であるシュウパウロウという骨付き肉の煮込みです。塩や長ネギ、ショウガ等であっさり風味なのですが、特製のたれが甘辛スパイシーで美味しいです。もっと食べたくなる一品です。
締めは地元のお米と、ジンギスカン発祥である滝川畜産試験場で作られたジンギスカンのタレで味付けされた丼です。羊肉料理を巡って北海道を冒険してきて、最後にはじまりの味に出会えるなんて感動です。
La Pecora(ラ ペコラ) 毎週火曜定休
ランチ:11:30-14:30 (L.O.14:00)
ディナー:17:30-22:00(L.O.21:30)
住所:北海道滝川市本町1−4−11
電話:0125-24-7856
WEBサイト
北海道は羊王国
北海道は今でも独自の資源や文化が残されている、魅力的な大地です。羊肉も全国トップの生産地であり、最近ではブランド化も進んでいます。まだまだ美味しい物をもっているので、今後も冒険を続けていきたいと思いました。
この曲でお別れです
『羊の唄』
詩・曲 おかミルク六郷土手
編曲 山田哲郎
緑の海 草原に
あの羊は何を思うのか
ふわふわの綿毛の中 悲しみを隠して
あの羊は何を思うのか
君に会う午後6時 渋谷に傘の花束
人の川を泳いで 赤い傘の君
そこだけスポットが当たったみたいに
キラキラと輝き出す
光の海 渋谷に
あの羊は何を夢見るの
ふわふわした綿毛の中 寂しさを隠して
あの羊は何を夢見るの
歩き出す僕の後ろ ふわり薫る君の鼻歌
テールランプの波を乗り越え 赤い傘の君
そこだけ春が来たみたいだ
ピカピカの光がさす
雨の粒
君の涙
悲しみは 本当は 見えないものさ
傘の端
君のため息が
滑り落ちて 跳ねる
草原を 超えて
あの羊はどこに行くの
ふわふわした綿毛の中 悔しさを抱えて
あの羊はどこへ行くの
あの羊に会いに行くよ
いつも
本当の笑顔探すために
僕たちは迷える子羊