私のお気に入りの風景を紹介するこのシリーズもいよいよ最終回となりました。第1回目の山梨県小菅村の畑スケープ(第1回)、第2回目の愛知県新城市の蚕スケープ(第2回)も多くの方に読んでいただき私もうれしい限りです。
最終回の3回目は神奈川県伊勢原市のみかん農園の景観をご紹介します。
冬と言えばみかんの季節だからというのもありますが、みかん色の実は見るだけでも元気がもらえるので、みなさんもこの画像をご覧になって寒さを吹き飛ばしてください!
みかん畑は山の上
みかんは日当りがよく水はけのいい土地で生育するので、山の南側斜面に多く作られています。私達がおじゃました神奈川県伊勢原市にある石井柑橘園さんも日当りのいい小高い山の上にみかん畑があります。
山道をくねくねと登ると一面にみかん畑がひろがり、青空と濃い緑の葉、丸くてかわいいみかんがとても綺麗です。クリスマスのオーナメントのように樹にいっぱいなったみかんを見るとこちらまで元気な気持ちになれます。
歩いて回るたびに違う風景が見られるのも、日本庭園の様式である回遊式庭園のようで楽しいです。
においも大切な風景
人の思い出に大きな影響を与えるニオイもみかんスケープの重要な要素の一つです。実を一つ採り、皮を剥くとさわやかな柑橘系の香りが辺り一面に広がります。まさにこの風景にあった匂いはいつでもこの風景に私達を連れてきてくれます。
もう一つのみかんスケープ
みかん園の方にお話を伺ったところ、植わっているみかんの品種は青島という皮は硬めですが味のしっかりした甘いみかんでした。「今年は関東のみかんが非常に出来がよくておいしいんだよ〜」とまるで我が子を褒めているようにニコニコと教えてくださいました。また、色々とお話を聞く中でもう一つのみかん園の絶景についてお聞きすることができました。それは5月中旬のみかんの花が一面に咲く風景です。白い花が一面に咲き誇り、柑橘系のさわやかな香りに包み込まれるそうです。しばらくその場にいると洋服に匂いがつくほどだよとおっしゃっていました。ご覧になりたい方はみかんの花が咲き始める5月の連休すぎから中旬がおすすめだそうですので、ぜひ遊びに行ってみてください。
もちろん食べてもいい景観
みかんスケープ最大の楽しみはやはり食べられるという事だと思います、私もその場でたくさん食べたのですが、美しい風景の中で食べられるみかんはいつも以上に美味しく感じました。みかんにも柿のように表の年と裏の年というのがあり、実がよくつく美味しい年と実がつきにくい年があるそうです。今年の関東はみかん園の方が言うように表の大当たりの年らしく、大変美味しいみかんがたくさんなっています、ぜひ皆さんも全国各地のみかん農園からみかんを買って食べくらべてみてはいかがでしょうか?
あなたも風景のオーナーになれる!
伊勢原市ではみかんの樹のオーナー制を行っています。オーナー制度とは生産の現場に直接消費者が事前に出資を行い、作業に参加したり、農産物を得ることが出来たりする制度のことです。棚田やりんご等が有名ですが、その他の農産物でも行われています。この制度により消費者は安全安心で美味しい農産物を直接購入できるだけではなく、農業そのものの応援をすることができます。農家さんとのふれあいや技術の伝承に一役買うことはもちろんですが、その農産物が作り出す風景も同時に守られるので、誰もが守りたい風景のオーナーになることが出来ます。
伊勢原市では残念ながら平成26年2月の大雪により募集を中止していたようですが、石井柑橘園さんではいくつか名前の書いてあるオーナーの樹がありました。
一つ一つ大切に育てられており、収穫にきた時に皆さん喜ぶだろうなと思うと、大変楽しい風景が広がっているように感じました。
風景を守るために
雄大な自然の景観を『自然景観』と呼ぶのに対し、人々の生業が生み出してきた景観を『二次的景観』と呼びます。これは人々のライフスタイルの変化や生業の喪失により失われてしまう景観です。現在日本の農山村は様々な危機に直面し、多くの二次的景観である農村風景が失われつつあります。このような風景を守るためには、皆さんにその土地の風景の魅力を知っていただき、その風景を構成する農業やライフスタイルを応援していただくしかありません。一番簡単な応援方法は食べることです。東京農業大学短期大学部環境緑地学科の入江彰昭先生は「おいしい風景を食べよう!」といつもお話ししてくださいます。
みなさんもぜひおいしい風景を食べて、美しい風景を守りましょう!
みかん農園の印象を人の第一印象に例えると
フレッシュで若さあふれる人!という感じです!
そのままですね。すみません。最後までまとまらなくて。