元日。初日の出を見に行く人も多いだろう。一年で一度だけのものなので人気も高く、各地には初日の出がよく見える、初日の出スポットなるものもある。
ただし、一年に一度しかないものは「初日の出」だけではない。「日の入り」だって一年に一度だ。ということで、「初日の入り」を見に行こうと思う。
2015年1月1日東京
2015年1月1日。テレビではお正月ならではの番組が深夜から放送され、神社は初詣の参拝者で賑わう。福袋に並ぶ人も入れば、家でおせちを食べる人もいる。そして、初日の出を見に行く人もいるわけだ。そんな元旦に私は羽田空港にいた。
多摩川から「初日の入り」を見るために羽田空港にやってきた。当サイトが「多摩川源流大学」なので、多摩川から初日の入りを見ようと思ったわけだ。初日の出と同じように「初日の入り」だって、一年に一度。素晴らしいものになるはずなのだ。間違いなく美しいのだ。
多くの人はどんな元旦を過ごしているのだろうか。きっといろいろな幸せな元旦があると思う。そんな元旦に、私は「初日の入り」を見るためだけに、わざわざ旅行の予定もないのに、羽田空港に来たら曇天。驚くほどの曇天。雪もちらついている。
羽田空港から多摩川へ
雪がちらつくと言っても、それは羽田空港では問題ないことだった。空港は暖かいからだ。問題は夕暮れを待って、初日の入りを目指して空港を出てから。寒いのだ。温度計は0℃を示していた。そして、風も強く体感温度は、合格発表で自分の番号がなかった時のような冷たさだ。
多摩川に人はおらず、しかし川では鴨が優雅に泳いでいた。見るからに寒そうであり、空は部分的には晴れているようだけれど、私の上と日の入りの場所はずっと曇天。日の入りは見れないだろう、と確信した。その事実に寒さが増した気がする。
書き初め
初日の入りは無理だった。何をしにここまで来たのだろうか。正月だ。元旦だ。めでたい日だ。しかし私は寒くて、曇天で、鼻水が止まらない。いろいろな元旦があるのだと知る。ちなみに私に来た年賀状は5枚だった。さらに寒さが増した。
初日の入りをあきらめ、正月らしく書き初めをすることにした。正月と言えば書き初めだ。多摩川の水を汲み、墨をする。寒風が吹き荒む。手は冷たく、もはや感覚はない。寒いのだ。書き初めの厳しさを知った瞬間だった。
おめでたい日なので、それを演出するために法被に着替え、書き初めを行う。人間の感覚は素晴らしいもので、来ているコートなどを脱いで法被を着ると、なんとさっきよりも分かりやすく寒いのだ。寒さですでに感覚はないと思っていたが、その向こう側を知ることができた、元旦に。
頑張って墨をすったが薄い。書き初めの文字が薄い。当初の目的の初日の入りも見れない。私のいるところだけはずっと曇天。素晴らしい一年を予感させる出来事だらけだ。「トゥルーラヴ」という目標を書いた半紙は、直後に風で破れた。みなさん、あけましておめでとうございます。