ザリガニというものがいる。多くの人はアメリカザリガニを思い浮かべたのではないだろうか。全国の川や田んぼにいるので、珍しくはなく、子供の頃にスルメなどを使って「ザリガニ釣り」をしたことがある人も多いはずだ。
ただザリガニにもいろいろあって、「ニホンザリガニ」もいれば、「ウチダザリガニ」もいる。今回はそのウチダザリガニが主役だ。主役を食うのだ。これが美味しくて驚いた。
ウチダザリガニ?
ウチダザリガニは本来、北米大陸に住むザリガニで日本にはいなかった。アメリカザリガニより大きく、食用として日本にやってきて、その後いろいろあって、北海道や長野に定着し、今では環境省指定特定外来生物に認定されている。
日本の固有種であるニホンザリガニの生息域と競合していて、ウチダザリガニに軍配があがっている。また阿寒湖ではマリモも食べちゃっているらしい。ちなみにニホンザリガニも阿寒湖のマリモも天然記念物である。
とりあえず、思ったのは「美味しそうだな」である。ニホンザリガニは大正天皇の好物だったし、アメリカザリガニはアメリカの場所によってはハンバーガーみたいに気軽に売られ食べられている。ウチダザリガニだって美味しいのではないだろうか、大きいし。
探せウチダザリガニ
ウチダザリガニを食べに北海道の阿寒湖にやってきた。阿寒湖といえば「マリモ」だ。近くのお土産屋さんの通りを歩くとマリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモ、マリモだ。
ただここに来た目的は「ウチダザリガニ」。阿寒湖では「レイクロブスター」と言われブランド化されている。地元の方に聞くと、一般の人は捕まえるのもダメだそうだ。ただ彼らが偶然歩いているのを見るのは問題ないようなので、それを探した。
季節は6月の終わりだった。ただめちゃくちゃ寒い。水が噛むように冷たい。冬場に来たことはないのだけれど、今でこの寒さということは、冬はどんだけ寒いのかと心配になる。湖面は凍り、ワカサギ釣りなどで賑わうそうだ。寒いはずだ。
どうももっと湖の沖で罠を仕掛けてウチダザリガニを採っているらしい。マス釣りをよくするそうだけれど、ウチダザリガニを見かけたことはないらしい。なるほど、この寒さで阿寒湖に入った意味がまるでなかった。寒さ損だ。
食べちゃうぜ!
どちらにしろ捕まえて食べるはダメなので、湖畔にある「海兵」という食堂に向かった。ここでウチダザリガニ料理を食べることができる。ぜひ食べてみたい。レイクロブスター、どんな味なのだろう。
海兵
北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-5-10
ボイルしたウチダザリガニ(レイクロブスター)を注文した。真っ赤だ。しかも大きい。手の平サイズはある。こんなに大きなザリガニを見たことがなかったし、食べたこともなかった。確かにザリガニよりロブスターという風格だ。
めちゃくちゃ美味しかった。味としてはエビではない。カニだ。カニのそれだ。カニのあれだ。先ほどザリガニよりロブスターと書いたけれど、ロブスターよりクラブだ。ザリガニよりエビであり、エビよりもカニ。それがウチダザリガニなのだ。
お店を出て近くの「阿寒湖漁業協同組合」に行くと、「レイクロブスタースープ」が売られていた。商品はゴールドに輝いていた。ゴールドにした理由がわかる。だって美味しんだもん。ウチダザリガニはもはやカニ。しかも、カニとしても王者クラスの美味しさだ。
帰りにクマヤキ
阿寒湖でレイクロブスターを堪能し、女満別空港に戻る途中に「道の駅あいおい」に寄った。なぜなら「クマヤキ」という文字を目にしたからだ。この道の駅がレトロで素晴らしかった。かつて走っていた相生線の北見相生駅が保存され、車両も止まっている。
道の駅あいおい
網走郡津別町字相生83-1
http://www.hokkaido-michinoeki.jp/michinoeki/2585/
道の駅に入ると「クマヤキ」の押しがすごい。黄色に占拠されている。クマヤキのストラップもあれば、手ぬぐいもあり、Tシャツもある。初めて「クマヤキ」を見たけれど、ご当地アイドルなのかな、と思ってしまう。
クマヤキは本当のクマを焼いた料理ではなく、生地に水を使用せず、自家製豆乳で練り、中に地元産のつぶあんが入っていたり、生クリームが入っていたりするものだ。これが美味しかった。
北海道行こうぜ!
ウチダザリガニを食べ、クマを食べ、なかなかに素晴らしい食の時間だった。野生動物もいた。植生も本州とは異なり走っているだけでも楽しい。ただ車での話で、自分の足で走れ、と言われたら「いやです!」と答えると思います。