料理などを美味しくするのはちょっとしたアイディアが必要だ。スイカに塩をかけたり、カレーにインスタントコーヒーを入れたり。こんな簡単なことで素材の持つ美味しさをさらに引き出すことができるのだ。
飲み物にもそれはある。たとえば、ワインは空気に触れることによって、まろやかになるそうだ。そこで、ワインをより空気に触れさせて飲んでみたいと思う。
美味しくする魔法
せっかく何かを食べるなら、飲むなら、美味しく食べたいと思うのは普通のこと。ちょっとしたことで美味しくする方法もあるのだ。冒頭にも書いたように、スイカに塩、カレーにインスタントコーヒーがそれである。
ワインもさらに美味しく飲む方法がある。諸説あるが、ワインは空気に触れさせることで、酸化して、まろやかな味わいになるそうだ。確かにワインをグラスに注ぐ時、ビールのような注ぎ方はせず、少し高いところから注ぐ気がする。
ボトルからグラスに注がれるまでに空気に触れるわけだ。これによりワインがより美味しくなるのだ。何か特別なものを買う必要もなく、高いところから注げばいいだけ。これだけでワインは美味しくなるのだ。
橋から注ぐ!
空気に触れさせることで美味しくなるのならば、ボトルからグラスまでの距離を広げれば、より空気に触れることになり、美味しくなるのではないだろうか。ということで、橋にやってきた。
高さである。知り合いにボトルを持ってもらい、下でグラスを持って待つのだ。先ほど全部自分でしていた時よりも、ボトルからグラスまでの距離があきらかに広い。これでワインはさらに美味しくなるはずだ。
橋の上と下でやっているので、私の足下には川が流れる。この川は多摩川の上流だ。自然の中で飲むこともまたワインを美味しくする大切な要素。そして、そのワインは山梨のワイン。さらにこの高さ、美味しいに決まっているのだ。
もちろん注ぐ位置が高いので、キチンとグラスに入るのか、と心配していたが、私のワインへの愛は強くキチンと注がれた。ちなみに私はワインの味があまり分からないが、空気に触れたおかげだろう、果汁100%の高級ブドウジュースみたいに美味しかった。
さらに高くする
とても美味しかったので、もっと高さを求めたいと思う。高くすることで、さらにまろやかになり、甘い味わいとなるのだ。これをやっている山梨県の小菅村の自然が、ワインと私とを調和させるのだ。
先ほどより高くなっていることが分かると思う。赤い液体が小菅村の空気と触れあい美味しくなって行くのが分かる。問題はグラスに入るかなのだけれど、意外と入る。私のワイン愛が一滴もこぼすまいとするのだ。
空気にこれでもかと触れたワインを飲んでみる。やっぱり美味しい。甘くとても飲みやすい味わいなのだ。これも空気に触れたおかげだろう。私はワインの味が分からないのだけれど、本当に果汁100%の高級ブドウジュースの味がして美味しいのだ。
スカイツリーと同じ高さ
小菅村にはスカイツリーと同じ高さの場所がある。標高が一緒なので、スカイツリーのような高い何かが建っているわけではない。人口約700人の村にそんな建物があるわけはないのだ。ただちょうどそこは橋になっている。
橋の名前は「もみじ橋」で、その橋が恐ろしく高い。さすがスカイツリーのてっぺんと同じ標高の場所にあるだけのことはある。ここからワインを注げば、空気に触れすぎるくらい触れるのではないだろうか。
小菅を走る梅雨を直前に控えた風はまだ爽やかさを保っていた。ワインが風に乗る。バラバラに散って行くのだ。先ほどまではグラスに注ぐことができたけれど、今回は選び抜かれた一滴しかグラスに入らなかった。
その一滴はやはり美味しいものだった。最高の一滴が私の体をよみがえらせる。まぁ一番の問題は私はワインの味が分からず、高いところから注いだら甘くなった気がしたが、このワイン、そもそも極甘口のワインだそうだ。
危険がないようにしましょう!
ワインだけではなく、紅茶やチャイも高いところから注ぐようだ。ぜひ周りに人がいないか確認してから、高いところから注いで欲しい。ちなみにワインはデキャンタに注ぐことで空気に触れるので、別に高いところから注ぐ必要はないらしい。無駄だった。