能登という場所がある。石川県にある日本海に飛び出している半島のことだ。古くから観光地としても有名で、水産業が盛んであり、温泉があり、朝市や能登キリコ祭りなど、挙げればキリがないほどの魅力にあふれている。
マジで能登の魅力がヤバイのだ。なんでもできるし、なんでもある。そこで能登の観光地を堪能し、能登で和紙を作り、そこに能登の魅力を伝える絵を描きたいと思う。私は美大卒なので、素晴らしい絵になるはずだ。
能登の魅力
能登は誰もが聞いたことのある場所ではないだろうか。朝市や輪島塗、白米千枚田などがあり、しかも景観も美しい。2011年6月には日本で初めて世界農業遺産に認定されている。行かなければ損と言ってもいい場所なのだ。
私は能登が大好きで、10年ほど前から深夜バスを乗り継いだりしては能登にやってきて、その美しい景観にうっとりとしてきた。季節によって能登の見せる顔は異なり、いつ来ても楽しいのだ。そんな私だからこそ、能登の素晴らしさを伝えたいのだ。
よく旅雑誌を見ていると、1枚のイラストで旅の様子をまとめたものが載っている。あれに憧れている。あれをやりたいのだ。そのためにまず最高の紙を準備するべく、能登で仁行和紙という和紙作りを営んでいる遠見和之さんを訪ねた。
和紙作りは初めての体験で一から教えて貰った。テレビなどで見ると「誰でもできるだろう」と思ってしまうけれど、紙の厚さを均等にするのが難しい。また花などを挟んでいいと知らなかった。かなりかわいい和紙になった。私のイメージに合っている。これで紙の準備は整った。
恋路海岸へ
まずは能登の「恋路海岸」へと行きたいと思う。深い恋仲となった2人の若者の伝説がある場所だ。海の中に弁天島という島が浮かんでいる。干潮時にはこの島に歩いて渡ることもできる。青い空にはとても美しく映る。
その名前からもわかるように「恋人の聖地」になっている。浜辺をカップルで走るのもいいかもしれない。私は走る相手がいなかったけれど。風が冷たかったけれど。写真を見たら楽しそうだった。そして、しこたま「ガッキーと付き合えますように」と手を合わせた。
恋路海岸
住所:石川県鳳珠郡能登町恋路
http://www.hot-ishikawa.jp/sys/data?page-id=5311
接吻トンネルへ行く
能登には恋路もあれば「接吻」もある。接吻トンネルなるものが存在するのだ。曽々木海岸の遊歩道を歩いたところにあるもので、昭和32年公開の映画「忘却の花びら」のロケが行われ、ここで主人公たちがキスをしたことで名付けられた。
真っ暗な洞窟で人気もないので、接吻をしたらおそらく接吻だけでは終わらないじゃないのでは、と思うようなロケーションだけれど、洞窟を歩くと照明が点く。撮影ポイントがあって、そこから洞窟を見るとハートマークになっている照明だ。
接吻トンネル
住所:輪島市町野町曽々木
http://www.notohantou.net/shsm/0768231146_a.html
のとじま水族館
能登はやはり海が美しい。ただ季節によっては海で泳ぐのは難しい。能登の冬なんてイメージだけどだいたい曇りだ。このあたりでは「弁当忘れても傘忘れるな」という格言みたいなものもある。基本曇りなのだ。そこで水族館だ。
ここで能登の海の美しさを感じることができるのだ。青ってやっぱり美しいな、と思ってしまう。しかも触れちゃうのだ。アシカかアザラシかのどちらかに。普段は見ることのできない世界、触るこのできないものに出会える。普通によくてずっと見てしまった。イルカ、イルカ、と小学生より騒いでいた。水族館はいいですな。
のとじま水族館
石川県七尾市能登島曲町15部40
http://www.notoaqua.jp/
食べよう!
人間とは不思議なもので、見ているだけでは満足できなくなるものだ。好きなあの子と付き合いたいじゃない、結婚したいじゃない、子供を作りたいじゃない、そういうことなのだ。つまり水族館で魚を見ていたら、食べたくなったのだ。
能登には日本三大朝市のひとつ「輪島朝市」があるのだ。乾物もあれば、野菜や果物、饅頭に木など、なんでも売っていると言ってもいい。これが基本的に毎日行われているのだからすごいし、その賑わいもすごい。さらに、なのだ。
能登の朝市には「炭火コーナー」というものがあり、常に火がついた七輪が準備してあり、無料で焼いて食べることができるのだ。旅行で行くと買っても料理できなかったりするけれど、能登ではその場で焼いて食べることができる。食べたいのだ、やっぱり。見るだけではなく。
ちなみに今回食べたのは「フグ」。フグと言われると下関などを思い浮かべるけれど、能登が天然ふぐ漁獲量日本一なのだ。本場のフグを本場の朝市で焼いて食べているのだ。めちゃくちゃ美味しかった。日本酒を飲みたかった。車の運転があるので飲めなかったけど。
輪島朝市
http://asaichi.info/
間垣が美しい
能登の素晴らしさは景観でもある。車を走らせているだけでも楽しいのだ。都会ではもちろんだけれど、地方でもなかなか見ることのできない美しい風景が広がっている。統一感があるのだ。
これは「間垣」と呼ばれるもので、日本海から吹き付ける風から家屋を守るために細い竹を隙間なく並べた垣根だ。小さな漁港と間垣。絵になる。私は武蔵野美術大学という美大を出ている。だからだろう、思うのだ。この景色を絵にしたいなと。そう思える景色なのだ。
大沢・上大沢の間垣集落景観
住所:石川県輪島市大沢町及び上大沢町の全域
http://www.city.wajima.ishikawa.jp/docs/2016042800025/
自転車で風景を
車で走るのもいいけれど、自転車でも走りたいということで、「里山まるごとホテル」で自転車を借りた。能登全体をホテルとして捉える新しいタイプのホテルで、泊まるサービスだけではなく、体験プログラムもある。そのプログラムの一つに自転車があるのだ。
最初の和紙作りも「里山まるごとホテル」のプログラムの一つ。普通の観光では出会えない体験をさせてくれる。自転車にしてもそうだ。能登の風が気持ちいい。ゆっくりと景色が流れていく。実はギアの切り替えがめちゃくちゃ多くて、それが面白くて、ギアを変えまくりで走っていて、あんまり景色を見てなかったけど。
私は狛犬が好きで、変わった狛犬が見たいと「里山まるごとホテル」の方に言ったところ、ここを紹介してくれた。確かに変わった狛犬だ。近年よく見られる岡崎型ではない。説明もしてくれたのだけれど、変わった狛犬! という興奮であんまり聞いてなかった。すみません。
里山まるごとホテル
石川県輪島市三井町長沢1-46-1
http://www.satoyamamarugoto.com/
能登塩
輪島には海がある、ということで塩の名産地でもある。今ではお米の生産も盛んだけれど、その昔は海風の影響でお米を育てるのには向かず、塩を作ることになった。とは言え、崖が多いのでその塩づくりも大変だったらしいけれど、能登の塩は美味しい。
ここでは塩づくりについて学べ、体験もできる、無料で。ここ重要です、アンダーラインを引いてもいいと思います。海水を塩田にばら撒く体験などは意外に楽しいのだ。簡単そうに見えて、意外に難しい。
塩の駅
石川県輪島市町野町大川ハ17番2号
https://www.wajimashio.jp/
恐怖からの景色
能登半島の最先端に「空中展望台スカイバード」という展望台がある。景色を見ることができるのだけれど、その展望台が名前からもわかるように空中に飛び出している。怖いのだ。それがなんかいいのだ。好きだけど別れるみたいな感じなのだ。
展望台には「構造上柱が無く危険ですので、絶対にゆらさないでください」と書いてある。うん、ゆらさない、怖いからゆらさない。ただ先端に行っちゃう。なんだろ、この感じ。絶叫マシンに近いのかもしれない。能登半島の最先端の展望台の最先端を目指しちゃうのだ。
空中展望台スカイバード
石川県珠洲市三崎町寺家10-11
http://www.rurubu.com/sight/detail.aspx?BookID=J0070985
千枚田も忘れずに
能登で忘れてはならないのが「白米千枚田」だ。棚田になっており、大小様々な千枚の田んぼがあるのだ。本当は1004枚あるらしい。小さいものは畳一畳もないんじゃないかな、と思うほど小さい。
田植えの時期も美しいけれど、稲刈りが終わってからはイルミネーションも行われる。つまりいつ行っても美しいのだ。ちなみにオーナー制度があり、お金を払えば一枚のオーナーになることもできる。看板があるので誰がオーナーか見ながら歩くのも楽しい。結構、有名人がいる。
白米千枚田
http://senmaida.wajima-kankou.jp/
絵にする!
能登のオススメの場所を巡った。あとはこれを旅雑誌で見るオシャレなイラストにまとめるだけだ。和紙も最高級なものを準備してある。あとは美大卒の私の実力を遺憾無く発揮すればいいのだ。
「里山まるごとホテル」では農家民泊体験も行っている。昔ながらの家に泊まることができるのだ。そんな場所でイラストを描いていく。巨匠になった気分だ。エプロンが可愛いけれど、日本画の大家になった気分。
能登で回ったところを思い出し、一筆一筆大切に想いを込めながら描いていく。この美しい能登を美大卒の私が芸術にしていくのだ。作った和紙は滑らかで、私の筆をより進め、2時間ほどで能登の思い出が1枚の絵となった。素晴らしき絵だ。
びっくりするぐらい下手だった。美大卒なのだけれど、卒業するときに私の絵を見て、親がお金を返せ、と言っていた。それほどに下手なのだ。ただ能登が素晴らしいのは本当なのでぜひ来てください。絵は下手だけど。
能登が好きな理由
能登が大好きなので、オススメの場所を巡り、さらにその良さを伝えるために絵にした。絵は失敗だったと思うけれど、これも私が、能登を好きなのでちょっとでも協力できればと思ってのこと。そもそも私、地主恵亮が能登を好きになったきっかけは、「大地主神社」があるから。そこもオススメです。
大地主神社
石川県七尾市山王町1−13
http://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/shrine/j1285/