シーズンというものがある。旬と考えてもいいかもしれない。たとえば、スキーのシーズンは冬だし、海水浴のシーズンは夏、松茸の旬は秋のように、その季節だから楽しめるものが四季のある日本には溢れている。
では、シーズンオフの時期にそこに行けば楽しめないのだろうか。シーズンオフのスキー場や、花が咲き乱れるシーズンが過ぎたお花畑など。そんなシーズンオフを巡ろうと思う。
シーズンオフこそ最高説
四季のある日本では明確にシーズンというものがある。それぞれに見頃というシーズンがあるのだ。桜や紅葉がわかりやすいだろう。そのシーズンは大勢の人で賑わうけれど、それがすぎるとあまり聞かないという場所だ。近所にもあるのではないだろうか。
人が観光地に出かける時、このシーズンを気にする。桜を見るために秋に出かけても仕方がないし、紅葉を見るため春に出かけても見ることはできない。シーズンを気にすることでよりその観光地を楽しめるわけだ。
しかし、私はそのシーズンという考えに「否」を唱えたい。シーズンオフだからこそ、想いを馳せることができるのだ。目に見えるものだけが全てではないのだ。シーズンオフだからこそ人が少なく、ゆっくりと楽しめるのだ。
花はす公園へ
4月のある日、用事で福井県を訪れた。どんな観光地に行こうかと考えた。まず思ったのは「花はす」である。福井県は花はす生産日本一なのだ。ハスの花は美しく、お茶にするなどの活用方もある。
花はすは福井県でも南越前町が有名だ。目的地の「花はす公園」に向かう道中には、街灯が花はすだったり、シャッターなどにご当地キャラの「はす坊」が陽気なボーズを取っていたりと花はすだらけ。私もはす坊と同じポーズを取るなど浮かれた。
花はす公園
https://www.fuku-e.com/010_spot/index.php?id=437
早かった。花はすは夏の季語であり、7月の誕生花。季節的に早いのだ。シーズンオフなのだ。普通なら来るのが早かった、あるいは遅かった、と思うかもしれない。ただそれがなんだというのか。想いを馳せようではないか。それが人間というものなのだ。
見えるものだけが全てではない。そのシーズンだけではないのだ。どんな季節にもそこには人々の営みがあり、時間が流れている。それを楽しむというのも、新たなる観光の楽しみ方なのではないだろうか。それに想いを馳せれば見えてくるのだ。
花はす公園の近くには「花はす温泉 そまやま」という施設もある。温泉もあるし、花はすのお茶や「はすうどん」などを売る売店もある。シーズンオフでも楽しめるのだ。実はシーズンオフなどないのかもしれない。
花はす温泉 そまやま
http://www.hanahasu.jp/
日本水仙を見る
福井県には日本水仙の三大群生地が存在する。水仙は美しい。さらに福井県の越前海岸に咲く水仙は日本水仙で「越前水仙」とブランド化までされている。冬の寒い日に日本海の荒波に耐えながら美しく可憐に咲くのだ。
越前水仙は先の文章からも分かるように、咲き乱れる季節は冬なのだ。春に行っても見ることはできない。しかし、シーズンオフでも、そこには人々の営みがあり、時間が流れている。想いを馳せるのだ。これが新たなる観光スタイルなのだ。
もちろん現物を見たいという気持ちもあるだろう。安心してほしい。「越前水仙の里公園」というものがあり、そこには「水仙ドーム」があるのだ。ドームでは一年中、越前水仙を見ることができるのだ。想いを馳せるだけではないのだ。ただ想いは馳せてほしい、強く。
越前水仙の里公園
http://www.fukuicity-navi.com/050_spot/detail.php?id=39
恐竜に想いを馳せる
福井で忘れてはならないのが「恐竜」の存在だ。1982年に福井県勝山市で白亜紀のワニ類の全身骨格化石が発見され、1989年に発見されたイグアノドン類に属する草食恐竜は2003年に「フクイサウルス」と命名されている。福井は恐竜なのだ。
これは非常に想いを馳せやすい。おそらく当時はその辺を、近所を散歩する犬くらいの勢いで闊歩していたのだ。つまり福井に行けば、その辺の景色を見て、右手と左手を大きく広げて想いを馳せれば、恐竜が見えてくるはずなのだ。
確かに今、恐竜はいない。シーズンオフだ。数万年続くシーズンオフ。しかし、そこには恐竜たちの営みがあり、時間が流れているのだ。想いを馳せないわけにはいかないのだ。むしろ、その辺を恐竜が歩いていたと思えば、歴史のロマンを感じるではないか。
完全に満足である。恐竜と同じ空気が吸えたのだ。時を超えて恐竜と友達になれたのだ。ロマンチックが止まらない。シーズンオフでも楽しむことができるのだ。世の中にシーズンオフという概念はもはやないのだ。
福井県立恐竜博物館
https://www.dinosaur.pref.fukui.jp/
大型肉食恐竜の「アロサウルス」の実物全身骨格や、化石発掘現場を見ることができたり、化石発掘体験ができたりなど、想いを馳せるその先を体験できる。何より想いを馳せた時に現れた恐竜の実部を見ることができるのが感動だ。
想いを馳せようぜ!
シーズンを気にしてしまいがちだけれど、実は一年中がシーズンということがわかったと思う。シーズンオフなんてないのだ。両手を広げれば、そこにはシーズンが現れる。これが想いを馳せるということだ。もちろんそれをフォローする施設もあるので、いつだって楽しめる。それが本当の観光なのだ。
福井県観光情報ホームページ ふくいドットコム
https://www.fuku-e.com/