「かまぼこ」というものがある。魚のすり身で作られたぷりぷりで美味しいやつだ。スーパーに行けばいろいろなかまぼこが売られている。白いやつ、赤いやつなど。お正月などにもかまぼこは外せない食べ物だ。
そんなかまぼこは、タラやタイなどの白身魚で作られる。ということは、川魚でもかまばこを作ることができるのではないだろうか。マスは白身。かまぼこは白身。なんの問題もない。きっと美味しいはずだ。
かまぼこは海の魚
かまぼこが好きだ。とても美味しいと思う。何かのおかずとしてではなく、かまぼこだけで成り立つのだ。おせちのかまぼこは特に美味しくて、一番に食べる。しかも彼は広い心を持ち、単体でも成り立つのに、ちゃんぽんなどの料理に入れても美味しいのだ。
板につく、という言葉がある。まさにかまぼこがそうだ。板についている。板につくという言葉自体はかまぼこは全然関係ないけれど、板についているのだ。だって美味しいから。そんなかまぼこは白身魚で作られている。
エソ、スケトウダラ、タラなどの白身魚が原材料だ。最近はイワシやサバなどの青魚でも作られているそうだけれど、スタンダードは白身魚。そして、海の魚で作られるということだ。これを川の魚で作ったらどうだろう。
ヤマメ、ニジマス、イワナなどの川魚は白身なのだ。鮭も身は赤いけれど白身。かまぼこは白身で作るので問題ないのではないだろうか。むしろ美味しい可能性もある。海の魚ほど川の魚は大量に採れないし小さいので、市場に出回りにくいだけで、美味の可能性があるのだ。
川魚を手に入れる
海の魚はスーパーに行けば売っているけれど、川魚はあまり売っていない。鮎が売られているのは見たことあるけれど、たとえば「アメマス」が売っているのを見たことはない。ということで、自分で仕入れるしかないのだ。
今ものすごいダイジェストでお送りしている。朝から釣りを始めてもう全然釣れなくて、写真も全然ない。釣れていない写真もなく、ひたすら無の時間だった。どうにか数匹釣ることができて、どうにか仕入れることができたのだ。
かまぼこを作る
ニジマス、アメマス、ウグイを釣ることができた。ニジマス、アメマスは焼き魚などにして食べることがあると思う。ウグイは外道と言われ渓流釣りでは歓迎されない魚だけれど、白身で淡白で美味しいらしい。かまぼこに最適だ。
この状態にしたら身を洗い、水を切る。綺麗な身だ。白身だ。かまぼこに一番向いているのではないだろうか。私は今までかまぼこを作ったことはないけれど、なんとなく一番向いていると思う。たぶん、きっと、おそらく。
身をとにかく細かくするのがポイントだ。ここで塩を入れて叩く。美味しいかまぼこを作るためだ。今まで作ったことないのであれだけれど、ここまでは完璧だと思う。さらにすり鉢に入れて身を潰していく。
眠っていた才能が目覚めたのではないだろうか。今までいろいろなことをしてきた。こうやって文章を書くのもそうだし、写真もやったし、手紙の仕分けなどもやってきた。でも、私に一番才能があったのは、かまぼこ作りかもしれない。
あ、違ったかも。かまぼこの才能ないかもしれない。全然売っているのと違う。そもそもさっきの自信はどこから来たのだろう。自分でもわからない。でも、まだわからない。これから蒸すのだ。蒸せば、売っているかまぼこのようになり、私の才能に間違いないとわかるのだ。
とんでもないモンスターを生み出してしまったかもしれない。全然知っているかまぼこではない。なにこれ? という感じだ。深海にいそうな感じになった。川魚のかまぼことかの問題ではなく、そもそもこんなかまぼこを知らない。
果たして味は
見かけが全てではない。人間もそうじゃない。性格が大切じゃない。性格こそ全てじゃない。このかまぼこの見た目はともかく、味がすべてなのだ。味が良ければ全て良しなのだ。川魚のかまぼこを食べようではないか。
なんだろう、特別まずいということはない。ただ特別美味しいということもない。海の普通のかまぼこと比べると劣る。売っているものと手作りという違いはあるけれど、そういう問題ではなく、味が劣る。なんだろう、泥の味だ。泥を食べたことはないけれど、そういう味だ。
誰一人「美味しい」という声は聞こえなかった。別に食べられない、ということは全然ない。ただ海の魚のかまぼこに圧倒的に負けている。甲子園の地方予選の一回戦みたいな圧倒的差が生まれている。泥なのだ。あの夏の日の泥の味なのだ。
よく川の魚は泥臭いと聞くけれど、それが出てしまった感じだ。焼いて食べたりすると別にそんなことはないのだけれど、かまぼこにするとダイレクトに出るのかもしれない。ただね、まずいわけではない。一番の問題は見た目だな、食紅を入れすぎたし、形もモンスターみたいだ。私にはかまぼこの作りの才能はないらしい。
いろんな魚でかまぼこを!
かまぼこは海の白身魚で作るものだと思っていた。しかし、先述のように青魚で作ったりと、かまぼこの可能性は無限大なんや、と思って、川魚で作ってみた。食べられなくはないけれど、特別美味しいということはなかった。適材適所なのだ。かまぼこにだけはむかないということ。今後もいろいろな魚でかまぼこを作っていこうと思う。